ノートパソコンのバッテリー交換 5つの基本

1.ノートパソコン用バッテリーの仕組みと交換時期
ノートパソコンには必ずバッテリーが装着されています。これにより電源につないでいなくても一定時間は利用が可能で、いつでもどこでもパソコンを利用できます。

ほとんどの機種ではディスプレイとの付け根部分の裏側に装着されています。簡単に取り外しが可能で、取り外すと意外に重いためノートパソコンの重量の大半がバッテリーであることを実感できます。

このバッテリーは、「セルバッテリー」と呼ばれています。内部にはセルと呼ばれる電池が並べられていて、その電池は乾電池のような円筒型をしています。

セルバッテリーを横から見ると、その形からも内部に円筒型の電池があることが想像できます。

この内蔵されている電池は現在、ほとんどの機種でリチウムイオン電池が採用されています。そのため、内蔵されているリチウムイオン電池が寿命を迎えた時が交換時期となります。

使い方やバッテリーが置かれている環境によって大きく異なるため「何年が目安」という表現はできませんが、バッテリーの持ちが悪くなってきた(短時間しか持たない)と感じたら交換時期が近づいているサインです。

2.リチウムイオン電池の特徴
大半のノートパソコンのバッテリーに採用されているリチウムイオン電池は、名称の通りリチウムという物質が使われておりリチウム原子の電子の移動によって充電と放電を行っています。

リチウムイオン電池が普及する前はニッケルカドミウム(ニカド)電池が主流でした。このニカド電池にはメモリ効果といって充電の途中で使用すると次第にその「途中」が充電の上限になってしまう性質がありましたが、リチウムイオン電池にはその特性がなく、より性能の高い充電池です。

その一方でリチウムイオン電池にはフル充電で長期保存をすると劣化しやすい、高温に弱いため温度によって劣化が早まるなどの特徴があります。これらの特徴はバッテリーを長持ちさせるノウハウに直結しているので。

3.バッテリー容量の見方
ノートパソコンのバッテリー容量は、そのバッテリーに表記されています。容量が大きいほどフル充電から長時間利用できることになるので、この数値はバッテリーの駆動時間の目安としても用いられています。

バッテリーを取り外してみると、バッテリーのどこかに記載があります。下の画像のバッテリーの場合、5200mAhというのがバッテリー容量です。

この数値によってどれくらいの駆動時間が得られるのかというのは、パソコンの消費電力やパソコンで行う作業、処理によって大きく異なります。そのため換算する明確な方法はありませんが、バッテリー交換する際にはこの数値が容量を示しているということを知っておいて損はないと思います。

なお、一般社団法人電子情報技術産業協会が「JEITAバッテリ動作時間測定法」というガイドラインを設けています。あくまでも目安ではありますが、この算出法によってバッテリーの駆動時間を算出することはできます。

4.「バッテリーを交換してください」というメッセージが出たら
ノートパソコンを利用していて、「バッテリーを交換してください」というメッセージが何度も表示されるようになったら、バッテリーの寿命が近づいているサインです。

ノートパソコンを電源につないだままでしか使わないという方であれば緊急の問題ではありませんが、外出先などで使用する場合はバッテリーの劣化によって突然のシャットダウンが起きる可能性もあります。

突然のシャットダウンはハードディスクを傷める可能性や、大切な編集中のデータを失うことにもつながるので早めのバッテリー交換を行ってください。

電源につなぎっぱなしで使用する方であっても、ノートパソコンのバッテリーには突然の停電が起きても電源を維持する役割もあります。万が一の事態に備えて、「バッテリーを交換してください」というメッセージには従うようにしてください。

バッテリーの寿命を延ばす4つの方法と心がけ

フル充電で長期保存しない
リチウムイオン電池にとって、フル充電は最も負荷が掛かっている状態です。すぐに使いたい場合に備えてフル充電での長期保存をしてしまう人は多いと思いますが、バッテリーは50%程度まで使った段階で継ぎ足し充電をするのが理想的です。

また、しばらく使用しない場合も50%程度まで放電しておいたほうが負荷が軽くなり、バッテリーの交換時期を延ばすことができます。

高温状態をできるだけ避ける

リチウムイオン電池は高温に弱いという性質を持っているので、使用中または保存中の温度が高温にならないように意識してください。

真夏の車の中はとても高温になります。そんな日に車の中にノートパソコンを放置するのはダメージが大きいので避けましょう。

また、これはやっている方が多いと思いますが、充電しながら使用するのも実はNGです。フル充電の状態で、しかも充電による温度上昇というダブルパンチになるためバッテリーの交換時期を早めてしまいます。

各メーカーのバッテリーメンテナンスアプリを活用する

大半のノートパソコンには、各メーカーのバッテリーメンテナンス用のアプリが入っています。東芝の「TOSHIBA ecoユーティリティ」など個別のアプリとして提供されている場合や、Mac OSの機能として提供されている場合など形はさまざまですが、おおむね機能は似ています。

これらのサービスにはバッテリーを長持ちさせるためのモードがあるので、それを利用するとバッテリーの寿命を伸ばすことができます。

OSの機能でモニターの明るさを調整する
モニターは大量の電力を消費するため、モニターの明るさを調整することで電力消費を抑え、バッテリーへの負担を軽減することで結果として交換時期を延ばすことができます。

Winodws、MacそれぞれOSの機能で調節が可能なので。Windows、Macそれぞれの方法が書かれています。

ACアダプタとは

ACアダプタとは、ノートパソコンやスマートフォン、テレビやオーディオ類など小型の電化製品に用いられる電源装置のこと。「アダプタ(adapter)」とは英語で「適合させる」という意味であり、コンセントから入力する交流電流(AC)を使用する機器に合わせた形式の電力に変換して出力します。

電気製品の多くは直流(Direct Current)の電源を使用して稼働しますが、電力会社から供給される商用電源は交流(Alternating Current)です。そのため電気製品を使用するには、交流を直流に一度変換しなくてはなりません。 大型の電気製品の場合は製品中にその電源装置が内蔵されていることが多いのですが、小型の電気製品の場合は軽量化・小型化のために電源装置だけで独立しています。これがACアダプタです。(大型製品の場合でも熱やノイズを発生させないためにACアダプタを使用することもあります)

ちなみにACアダプタというとACからDCに変換するアダプタを一般的に指しますが、変圧だけを行うAC-ACアダプタもあります。また「充電器」という呼ばれ方をすることもありますが、あくまでも機器に内蔵されている充電用の電池に電流を送ることが目的であり、ACアダプタ自体に充電制御回路などは組み込まれていません。

ACアダプタには、大きく分けて「トランスタイプ」と「スイッチングタイプ」の2種類があります。どちらもACからDCに電圧を変換するという用途は同じですが、トランスタイプは大型のコイルを使用しているため、大きくて重いという点が大きな特徴。その分構造がシンプルで、ノイズが少なく安価というメリットがあります。 スイッチングタイプは高速でスイッチを切り替えることで電圧を制御するためノイズが入りやすく、また回路が複雑で比較的高価ということが特徴です。その分効率が良く、小型化・軽量化しやすいというメリットがあります。現在は省エネの観点や小型軽量化を求められる背景から、スイッチングタイプが主流になっているようです。